THE LEGACY OF MODERN CRAFT

2022.7.15―7.24

継承されるセルジュ・ムイユとピエール・シャポの造形美

この度、CASA DE は、EDITIONS SERGE MOUILLE JAPAN との共同企画で ミッドセンチュリーを代表するフランスのデザイナーであるセルジュ・ムイユと ピエール・シャポの作品を一同にご覧いただける企画展を開催いたします。

会場は、ル・コルビュジエのアトリエで学んだ最後の日本人建築家として知られる 建築家の進来廉氏が 1970 年代に設計した個人邸を、ギャラリーショールーム として新たに再生させた空間「BUNDLE GALLERY」にておこないます。

進来 廉氏は、フランス滞在中にシャルロット・ペリアンやジャン・プルーヴェなど 20 世紀を代表する建築家と協働していました。

またピエール・シャポが影響を受けた ギリシャ系フランス人の建築家ジョルジュ・キャンディリスに師事していた事から ピエール・シャポの作品群を展示するに相応しい場所であると感じ、今回の企画展 を開催させていただく運びとなりました。

本展では、セルジュ・ムイユ / ピエール・シャポという人物、作品づくりの背景を 当時の写真とご紹介すると共に、弊社が保有しているピエール・シャポのヴィンテ ージ作品とあわせて、それぞれの家族が継承するアトリエで製作された現行品を 展示いたします。また、今回のイベントの為に復刻した日本初上陸となるアイテ ムも複数展示いたします。 (※期間中、出展作品は受注販売をおこないます )

PIERRE CHAPO / ピエール・シャポ

FRANCE (1927-1987)

20 世紀を代表する家具デザイナーであり、彼自身が製作をおこなう木工職人としても名を馳せたピエール・シャポ。

当初、プロの画家を目指していたフランスの青年は、造船技師との出会いにより、木材や木工芸に目覚めました。 パリ国立高等美術学校で建築を学んだピエール・シャポは、卒業後、妻で彫刻家・画家のニコル・ロルミエとともに 北欧や北中米を広く旅するようになりました。その中で、フランク・ロイド・ライトの自宅兼アトリエである タリアセン・ウエストを訪れます。この訪問が、その後のシャポの作品やデザインに多大な影響を与えることと なりました。1950 年代末に帰国したチャポは、妻の協力を得て、自分のデザインの製作と販売を開始しました。 彼のデザインに熱狂的なファンがつくまで、あまり時間はかかりませんでしたが、興味深いことに最初の顧客は 20 世紀の重要作家の一人とされ、ノーベル文学賞も受賞したアイルランド出身の作家サミュエル・ベケットでした。 シャポはベケットの有名な戯曲にちなんで「Godot bed」を制作、これが高い評価を受け、彼がデザイナーとして 躍進していく第一歩となりました。

1958 年に、妻のニコルと共にパリのオピタル通りに設立した高級ショップ「Galerie Chapo」で作品を販売して いたシャポは、自身の作品と共にイサム・ノグチなど、他の職人や芸術家の作品も展示をおこないました。シャポは ノグチの工芸品に対する有機的なアプローチに共感し、二人とも戦後の社会主義の影響下で主流となっていた荒々しい 工業的な製品に対して抵抗しました。チャポは、「実用性」以上のものを求めており、家具デザインは美的なもの であるべきだと考えていたため、黄金比の重要性を強く主張しました。彼の作品は、古くから伝わる木工技術と 工芸における伝統に、現代的なアプローチを融合させたデザインです。彼の卓越したデザインの作品には、主に エルム材、オーク材、ニレ材が使用され、現代的なデザインと伝統的な職人技への 2 つの関心を明確に表しました。 1960 年には、パリ市への貢献に対する感謝の印として、パリ市から金賞を受賞。彼は、個性的で時代を超越した 普遍的なクオリティを持つデザインを支持しました。

当時、クラマールにある義父の木材工房で製作をおこなっていたシャポは、そこからほど近いサンジェルマン通り に軒を連ねた Knoll、Sentou、La maison des métiers d’art といった名だたるギャラリーや、同時期に活動していた Simone Prouvé、Georges Candilis、Arne Jacobsen にも影響を受けており、特に Gallery Steph Simon で 展示されていた Serge Mouille の照明作品、Charlotte Perriand がアルプスのスキーリゾート Les Arcs の為に 制作した作品に大きなインスパイアを受けました。1967 年には、装飾芸術家協会展に参加し、アワードを受賞。 同年、家族とともにプロヴァンス地方のアヴィニョン近郊のゴルドに移り住み、新たにアトリエを構えました。

ゴルドの風景に触発されたシャポのデザインは 伝統に根ざした無骨で大胆なものとなっていき ました。ゴルドでは職人たちを雇い入れたことで これまでよりも彼のデザインに対する需要を 満たすことができるようになり「Oeil table」

「T01 table」「S01 stool」「T21 Table」など 戦後のムーブメントに大きな影響を与えた コレクション性の高い作品を生み出しました。

ゴルドに拠点を移してから 20 年後の 1987 年にピエール・シャポは他界しました。息子のフィデル・シャポが 父との思い出の地であるゴルドの工房を家具会社「Chapo Gordes SA」として設立、父のデザインと意思を継承し 職人であった彼自身も、変わらず家具の製作を続けました。父親譲りの卓越した技術力とクラフトマンシップから フィデル・エディションと呼ばれるように、彼が製作した作品も数多くのコレクターから高く評価されました。 残念ながら、2021 年の暮れにフィデルも享年 54 歳という若さで他界し、現在はピエール・シャポの孫にあたる ゾラン・シャポが会社を引き継ぎ、同じゴルドの地で製作を続けています。

ピエール・シャポが、フランスが生んだ最高のデザイナーの一人であることは、彼のデザインや職人技を見れば 明らかです。30 年のキャリアの中で、彼は家具製作と建具の伝統工芸へのこだわりを一度も失うことはなく、それらが 優れた家具に不可欠であると信じていました。作品には、モダンなデザインと伝統的な職人技が融合しており、木材 とその特性に対する彼の愛情がすべての作品に表現されています。

会期 — 2022年7月15日(金)-7月24日(日)12時-17時(入場16時30分まで) ※アポイントフリー

会 場 — BUNDLE GALLERY : 千葉県野田市野田 57 番地 ( 入場無料 )

主 催 — 株式会社イニシャルジャパン / EDITIONS SERGE MOUILLE JAPAN

* 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、会期の変更や、臨時休館となる場合がございます。
* 会場敷地内に駐車スペースがありますが、台数に限りがございますのでご注意ください。

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